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オレのしくじり

転んだら起き上がればいい

『教団X』 脳科学、物理学に興味がある人にオススメ

読書

教団X

話題の『教団X』の読みました。以下、感想。

読みやすい

読んでいて、内容関係なく思ったのは、とても文章が読みやすいということ。これまで読んだ小説はさほど多くはありませんが、その中でもダントツ。それほど中村文則さんの文体は読み進めやすかったです。非常にリズミカルに書かれていて、前半はほとんど音楽の「サビ」が続いている感じでサクサク読み進められました。わりとカタい内容にもかかわらず。

 

前半は、脳科学や物理学の話題が多い

物語には、2人のカリスマ(教祖)が登場します。そのうちの一人の「松尾」というカリスマの説法が前半多く出てきます。ただ説法といっても、じっさいは仏教、脳科学、物理学の話が中心。のちの伏線になります。

物語でも「松尾」自身、自らの活動が宗教だと思っていません。そのため「松尾」からは宗教チックな話は出てきません。

たとえば、

意識「私」を司る脳の特定の部位は存在しない。
脳の大局的な働きによって意識「私」が生まれる。
脳がなければ、意識「私」は発生しない。
脳の活動が、意識「私」によって反映される。

ここだけ切り取って読むとやや難解なんですが、松尾がテンポのいいしゃべりをするため、非常に読みやすいです。上の引用文も流れの中で読むと非常にわかりやすく読めます。

カリスマの一人が、斎藤一人に似ている

ところでこの「松尾」という人物。誰かに似ているなと思ったのですが、斎藤一人さんにすごく似ています。本書の「松尾」は、商売やお金ではなく、「科学について語る斎藤一人」といった感じでしょうか。

 

お金の真理

お金の真理

 

 

後半、話が急展開していく

ネタバレしないように書きます。中盤くらいから話が一気に大きく広がりをみせます。タイトルからは想像できない展開に。
ざっくり言うとそこでの話のテーマは「格差」。グローバル、国内、個々の格差の問題が描かれます。それがホラーという意味でなく、けっこう「怖い」内容でしたね。読み応え十分でした。ちょっとぼくのあたまではついていけないところもありましたが。

 

性描写が多い

他のレビューにもあるかもしれませんが、性描写がかなり多いです。多くなるのは「教団X」という組織の性質によります。それに宗教と性の問題は切り離せないことでもあるように思います。ただ、過剰なほど出てくるので、そこに何らかの物語上の必要性や、作者の意図があるのかも。性描写がある意味リアルに書かれるので、ちょっと抵抗を感じる人がいるかもしれません。

 

分厚いけど

タイトルの宗教チックな印象から読むのをためらっていた人もいるかもしれません。

でも宗教要素はかなり薄いです。

あと本書の分厚さから読むのをためらう人もいると思います。ぼくも積読している時間が長かったです。じっさいに読んでみると、さほど量が多く感じないと思います。というのもを文体が非常に読みやすく書かれていますし、文字も大きいので。予想よりも短い時間で読めると思います。

 

個人的は、まだ気になるところというか、もう一度読んでみたい箇所があるので、あらためて読みたいと思っています。

脳科学や物理学などに興味が有る人には特にオススメです。